綾鷹を未だ許さず
かつてナンシー関、野島伸司の書くドラマを下記の如く批判せること有り。
野島伸司は、何の責任も取る積もり無き也。... 野島ドラマに欠かせずとせられたるものに「めくるめく過激」有り。... しかしてこれらの「過激」には全て保険 掛けられたり。のちほど誰よりも怒らるることの無きやうにとて也。*1
さて、吾人もこの「保険の掛けられたる過激」を見て怒りしこと有り。相手はコカ・コーラ社の日本茶「綾鷹」なり。
話は5年ほど前、綾鷹のCMに大々的に使はれたるキャッチコピー有り。「日本人の味覚は、世界一繊細だと思ふ*2」、是なり。
吾人之を見て怒り心頭に発し、「綾鷹 二度とふたたび購ふまじ」と決意し且つ実行せり。
吾人の癇に障れるは、「日本人の味覚は世界一繊細」といふ傲慢なる主張そのものには在らず。無論これとて好ましきものとは思はざるも、少なくともそれは一つの主張にして、またプロレス的挑発として鷹揚に受け取る余地もあり。このキャッチコピーを見て、各国の人々「否、我が国人の味覚こそ世界一繊細なれ!」と次々に声を上げたらば面白かるべし。
しかるに、このコピーはここに「と思ふ」と付け加へたり。いはゆる「※個人の感想です。」の類なり。これ上記の「保険」に外ならず。これによりて、「日本人の味覚は世界一繊細」と、言ひたきことは言ひて他国の人を無根拠に貶めながら、「断定には非ず、感想に過ぎず」とて外部よりの反論を無効化したり。なほ且つ、「思ふ」の主語は明示せず。これ豈に悪辣ならずや、卑怯ならずや。吾人の怒りは正にこの点に在り。
今は綾鷹のCMに彼のキャッチコピー使はれざるも、吾人未だに綾鷹を購ふことなし。幸ひにして茶には他に選択肢多ければ、さして困ずることもなきなり。