文語文 練習帳

文語文を用ゐてエッセイ的の文章をつづる練習帳。

とんびの勝手

 吾人これまで、鳶のピーヒョロロロと鳴くは空を飛びたる際のこと、更に言はば宙に円を描ける際のことと思ひきたれり。

 さるを今日、鴨川のほとりにて目撃せるは、街灯のカサの上にたたずみながら時折ピーヒョロロロと鳴く鳶の姿なりき。意表を突かるる思ひを成したり。

 「横着なる鳶よ」と呟かるれども、先方にしてみば「さやうなる約束をしたる覚えなし」とも言ひつべきか。