文語文 練習帳

文語文を用ゐてエッセイ的の文章をつづる練習帳。

マグヌードルに待ち時間有り

 突然ながら諸賢は「マグヌードル」を食するとき、熱湯を注ぎてのち如何ほど待ち給ふや。吾人幼時よりマグヌードルを好みたれど、熱湯を注ぎつれば待ち時間を設くることなく箸にてしばらく掻き混ぜてのちそのまま食するを常とせり。

 ところが先日、湯の沸くを待ちがてら全く何気なく外装を見し時、そこに「熱湯を入れて2分待つべし」との文言を目にして驚愕せり。

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吃驚

 なんと2分とは! 普通のカップヌードルとさして変はらぬには非ずや。

 されど作り手の言ふことなればと、疑念は大いに抱きつつも試みに指示に従ひて2分待ち、のち食ひ始む。即ち認めたり。諸賢、マグヌードルは2分待つべし。

 これまで食せしに比べて、麺の質向上して食感豊かになれりと感ぜらる。待ちたる分いはば「伸びた」状態に成りたるなれば当然とは雖も、この状態こそマグヌードルの本来の姿なりけれと気付かるる也。

 是、例の「少しのことにも先達は有らましきことなり」なる警句を想起せしむる一事件なりき。

 以下余談。吾人按ずるに、マグヌードルの一番旨き時間帯は深夜なり、則ち夜食なり。啜り始むれば、少時ありて麺尽くと見ゆ。されどいぢましく汁を飲み続けたれば、やがてマグの底に思ひがけぬほど多くの麺の沈み残れるに出で会ふ。これ小確幸と言はざるべからず。