文語文 練習帳

文語文を用ゐてエッセイ的の文章をつづる練習帳。

正月の正しき過し方(2)

 この話の続き也。

 

 さてかやうなる理屈を立てて、吾人は実際にはこの正月休みをいかに過せしか。前稿にて述べたる要点は、(1)成したしと積極的に思ふことに注力すべし、(2)”漫然”を低程度に抑ふべし、の二点なり。

 吾人、まづ(2)を確保せんがため、これにとりての一大障害なるインターネットの使用を戒めつ。具体的には、大晦日・元日の二日間は原則としてネットに触れざりき。また正月二日以降も、積極的にネット見たしと思へる時以外は見ぬやうに努めたり。これによりて、"漫然" を著しく節減することを得。(2)は大いに成功したりと言ふべし。

 続いて(1)なるが、まづ旧年の暮れに「正月に読む/観るべし」とて買ひ置きたるコミック(島本和彦『新 吼えろペン』全11巻)とDVD(玉置浩二『We Can Believe in Our “JUNK LAND”』)と有りければ、これを賞味しつ。またナンシー関のエッセイや発作的座談会(椎名誠沢野ひとし木村晋介目黒考二)など読みて楽しみつ。この他、長めの散歩を二度成す、『リングフィット アドベンチャー』にて運動す、などのこと有り。積極的行動を重視したればにや、テレビを見る時間は例年より随分減りたるやうなり。

 但し(1)につきては反省点も有り。より正月の特別感を演出する工夫あるべかりけん。例へば、上のやうに色々の本を言はばつまみ食ひ的に読みたる結果、普段の読書とあまり変はり映えせざる様となりき。むしろ一点豪華主義とすべかりきかと思はる(かと言ひて、一つにこだはるも却って義務的の感 生ぜんか。難しき問題なり)。また、散歩も思ひつきのものなれば只の散歩なりき。双眼鏡を持ちいだして鳥見を兼ぬる等の工夫あらましかば一層良からまし。計画性の不足悔やまるるなり。

 さは言へ、概して言はば事前の方針を反映して良き過し方なりきと思ふ。ただ惜しむらくは、暦の都合にて新年の休日としては三日のみなりしことなり。いま二日、否いま一日あらば、「今や とく仕事にかかりたし」と感ずるほどに休日を堪能しつらんと思ふ。その点いささか残念なりとす。

 今回試みたる基本方針を保持し、且つこれらの反省を活かして、一年後には一層正しき正月の実現に努むる所存なり。