通販の落とし穴
2020年・2021年と、"当たり" の買ひ物につきて記事をものせり。
されど、アタリあらばハヅレもあるが買ひ物なり。今その一例をここに示さんとす。
それは、某社のBluetoothスピーカーなり。とは言ふものの、スピーカー自体の品質に不満はなし。ただ問題は、これを中古にてネット購入せる点にあり。
品質「非常に良し」と評するものを注文したれど――実際、届いた品は新品と同様に見ゆ。しかれど、この品を前にして吾人、何とも言はれぬ違和感を覚えたり。
その正体はやがて明らかになれり。
匂ひなり。
スピーカー本体と充電コードとより、強烈なるタバコ臭 発せられたり。手近のウェットティッシュにて拭ふに、あからさまに茶色く染まれり。数度丹念に拭へど匂ひは消えず。
またこのタバコ臭の醜悪なる点は匂ひそのものにはあらず、むしろその「伝染性」にあり。すなはち、スピーカーと物理的に接触したる物体に、匂ひ伝染せり。これ悪辣と言はざるべけんや!
このことを認識したる瞬間、吾人は検索魔となりて この消臭法を調査せり。その結果、「新聞紙にくるむ」と「消臭剤を染み込ませたる布にて拭ふ」の2方針にて立ち向かふことと決せり。
前者の「新聞紙にくるむ」とは、スピーカーに染み込みたる匂ひを新聞紙に移らしむ、すなはちタバコ臭といふ悪霊の「形代(かたしろ)」として新聞紙を利用する方法なり。一晩置きて新聞紙を剥がして嗅ぐに、確かに紙にタバコ臭の移りたるを認知せり。新聞紙は優秀なる形代たること、ネットにての評判に違(たが)はず。
かくして上記2方法にて攻略を試みたれど、完全除去への道は容易ならず。おほよそ気にかからざるほどまでに低減せしむるに、ひと月以上を要せり。今も紙類のやうに匂ひの伝染しやすき物の上には置かぬやう留意す。
実に骨折りを強(し)ふる買ひ物なりきと言ふべし。通販は匂ひを映さず――諸兄 以て戒めとせよ。