文語文 練習帳

文語文を用ゐてエッセイ的の文章をつづる練習帳。

Bluetoothヘッドフォンに驚嘆

 先日、梅田のヨドバシカメラにて新しきヘッドフォンを購(あがな)ひき。幾つか視聴したる結果、ソニーの h.ear on 3 といふ機種を選びたり。約2万6000円也。

※色は緑を選べり。 

 汲めど尽きせぬオーディオ沼においては取るに足らぬ出費なるべけれども、吾人によりては思ひ切りたる買ひ物なりき。音楽は吾人のほとんど唯一の趣味なれば、これくらゐ出費すとも罰は当たるまじ・・・と、己に言ひ聞かせつつレジに向かひたるなり。

 実際に使ひ始むるに、音の良さもさることながら、その使ひ勝手の良さに驚嘆せり。これは吾人にとりて初のBluetoothヘッドフォンなるが、かくも多機能なりとはつひぞ知らざりき。

 右側のカップに触るるによりて、音量の上げ下げ・一時停止・曲送り等、基本作業を手軽に行ふことを得(う)。殊に心憎きは、カップ全体を手にて覆ふによりて、その間のみ音をミュートする機能にて、これは電車に乗りたる時にかすかに聞こえたる車内放送をキャッチせんとする時などに重宝せらるるものなり。

 今まで無線ヘッドホンを遠ざけたるは、「充電」に縛らるるを厭ひてのことなるが、流石にタブレット(吾人はスマワートフォンは持たず)の類に比ぶるに電池の持ちは遥かによく、主に通勤時の使用といふ程度ならば充電は週に1度程度にて済む様子なり。 

 また、本機はかのノイズ・キャンセリング機能を備へたるものなり。最初に使用したる時、音楽のほかに外音も聞こえたれば、「さるはノイズを全く遮断するものにはあらざるな」と、いささか期待外れの感を得たれども、ヘッドホンの電源をオフにしたると同時に外音のドワッと耳に流れ込みたるを以て、キャンセリング機能のいかに著しきかを初めて認知したり。

 されど、何より大きなる影響は「音楽を聴くことの楽しくなる」ことなりと覚えたり。無論それまで楽しからざりしにはあらざれども、耳慣れたる楽曲が言はばヴェールを剥ぎたるがごとき鮮やかさにて再現せられたり(ただしこれは音源によりて差異あり)、またこれまでに聞こえざる/意識せられるざる音の色々と聞こえたりにて、手持ちの色々の音源を取っ替え引っ替え聞かまほしくなる。これは(吾人には経験あらざれども)自動車を新たに購ひたる人がとにかく車をここかしこに走らせまほしくなる心情に同じきものなるべし。さう言ふわけにて、char→メタリカスティーリー・ダン奥田民生→ルパート・ホルムズ→椎名林檎と、節操なくも楽しき音楽生活を送りたるなり。